身代わり姫君の異世界恋綺譚
清雅を見るとさっきの怒りはどこかへ行ってしまい、紫鬼の言葉にぎょっとしてこちらを見ていた。

「か、かしこまりました。紫鬼様」

清雅に下がって良いと言われた藤は3人の前から去って行った。

藤が去ると、真白はお膳を避けるようにして隅に座った。

清雅がお膳を廊下に出す。

「藤がすぐに代えの膳を持ってくるだろう」

「清雅、もういいの。お腹は空いていないから」

真白がかぶりを振る。

それより眠かった。

――身体がまだ重い……紫鬼のおかげで大変な事にならずに済んでいるんだけど……。

真白は立ち上がると、布団に横になった。

2人とも何も言わないのがありがたいと感じた。

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