身代わり姫君の異世界恋綺譚
「清雅、私の部屋へ来なさい」

「はい」

清雅はそのまま父の部屋へ行った。

「父上、何用で?」

きちんと背筋をのばして正座をした清雅が父に聞く。

「お前は気づかなかったようだな?」

「え? 何を?」

突然言われて清雅が慌てる。

「あの屋敷は微かだが、物の怪の気配がした」

「そんな! 私には感じられませんでした」

「琴姫の身体にも感じたぞ。だが、私たちが来る前に逃げたようだ」

「では、すぐにお祓いをしなければ!」

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