身代わり姫君の異世界恋綺譚
真白は紫鬼が清蘭の恋人だった事に驚いた。

――だから……優しかったの?

「おや、震えているではありませぬか」

真白の身体が小刻みに震えているのを見て藤は驚いた。

「ちょ……ちょっと気分が……」

「まあ! すぐに横になってくださいませ」

藤は真白の身体を支え、他の女房が急いで敷いた布団に横にさせた。

「どうしたのだ?」

紫鬼の声がして真白は目を開けた。

「紫鬼様、急に真白様のお加減がお悪く……」

「わかった。もう行くが良い」

紫鬼は女房たちを追い払うと、真白の布団の横に立った。

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