身代わり姫君の異世界恋綺譚

怨霊

――悔しい。悔しい。悔しい。紫鬼様はあの娘に夢中だ。

悔しさと切ない思いで紅は自室へ戻った。


『そんなに悔しいのか?』

紅の耳に女性の弾むような声が聞こえた。

「誰っ!?」

辺りを見渡したが誰もいない。

『わらわじゃ。紅、わらわはお前の助けが必要じゃ』

――聞いたことのある声……。

紅はハッとした。

――清蘭様!

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