身代わり姫君の異世界恋綺譚
「夢じゃないって! こんなのありえないじゃない! 貴方は仮装パーティーの最中なんでしょう?」

背中の痛みも忘れるほど叫んでいた。

――そうよ! 赤いコンタクトだってこの世の中あるし、髪の毛を紫に染めるおばあちゃんだっている。

「仮装パーティーとはなんの事だ?」

「ふざけないで!縄を解いてよ!さっきの少年の仲間なんでしょう!?」

身体が動かないのは、縛られているからだと思った。

「縄? さっきの男? お前の話はわからないな」

紫鬼は形の良い眉を寄せて、真白を見た。

「だって! 身体が動けないもの!」

――縛っていないなんて嘘ばかり!

「あぁ、その事か。お前が何者かわからないから術で動けなくしている」

「動けなく……している……?」

真白にはさっぱりわからない。

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