身代わり姫君の異世界恋綺譚
清雅は裏手の池に行くと、真白は池と池を結ぶ真っ赤な欄干に両腕を預け、池に竿を垂らしていた。

じっと池を見つめている。

石を踏む音に真白が振り向いた。

「清雅っ! どうしたの? こんな時間に」

今の時間は修行のはず。

「真白、遊びに行くぞっ!」

「遊びに……?」

ポカンと口を開けて近づいてくる清雅を見ている。

「どこへ遊びに行くの?」

屋敷の外へ行くのは怖い。

村人の反応が怖いのだ。

一度屋敷から出た時のことがトラウマになっている。

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