身代わり姫君の異世界恋綺譚
「そうだわ! 貴方はマジシャンね? それか催眠術師」

紫鬼は真白の顔をじっくり隅々まで見渡した。

――この娘はまたわけの分からぬ事を言う。だが、着物は今まで見た事がない。

じっと見つめられて、こんな状態なのに真白の心臓がトクンと波打った。

――何も言わずにじっと見ないで……。

視線を逸らせずに、紫鬼の真っ赤な瞳を見ていると、先にはずしたのは紫鬼の方だった。

紫鬼は障子の方に視線を移すと、すぐさま静かに障子が開いた。

真白は頭を動かし、開いた障子を見る。

そして昔の着物の姿をした男の子が入ってきて驚いた。

「また仮装パーティー……」

「紫鬼、この娘は本当に鬼じゃないの?」

真っ黒な髪を頭のてっぺんで結び、きりっとした表情。

清雅は真白を一睨みすると、紫鬼に聞いた。
< 14 / 351 >

この作品をシェア

pagetop