身代わり姫君の異世界恋綺譚
屋敷の中へ入ると、清雅は結界を張るのに忙しくなった。

紫鬼は中庭に出て空を見上げている。

「紫鬼、どうして空を見上げているの?」

真白は中庭に降りて、紫鬼の横に立った。

「雷雨が来る」

「本当に?」

紫鬼の見ている方向を真白も見た。

夕暮れの時間帯で、雲一つない空はこれから雷雨が来るようには見えない。

「中へ入ろう」

紫鬼は真白の手を握ると屋敷の中へ入った。

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