身代わり姫君の異世界恋綺譚

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「道重（みちしげ）、少し休まぬか？」

身なりの良い美丈夫の青年が馬を止めた。

そして連れの青年を見る。

「はっ！　忠臣様」

道重と呼ばれた男は手綱を引いて馬を止めた。

忠臣は馬の背から降りると、小石を踏みながら浅い川に近づいて馬に水を飲ませた。

「今日はかなり馬を走らせましたね？」

「あぁ、馬たちにはかなりの運動だったな」

忠臣が満足げに答える。

２人は白笠山にある天皇の別邸に滞在しており、遠乗りをして戻る最中だ。

この会話からも上下関係がわかるが、忠臣は天賀天皇の三男。

道重は家柄も良い左大臣家の長男だ。

小さい頃から忠臣のお目付け役としていつも傍にいる。

２人とも整った顔をしており、都で浮名が流れる青年たちだ。