身代わり姫君の異世界恋綺譚
ザザーッ!


意識がなくなった真白は紫鬼の腕に抱えられて川の上にいた。

2人は川から数センチ浮いている。

「紫鬼! 真白!」

紫鬼に抱えられた真白を見て清雅は安堵した。

岩の上の平らな場所へ真白を横たえると、紫鬼は唇を合わせた。

真白の世界で言う人工呼吸だ。

清雅も川から上がり、2人に近づいた。

「紫鬼っ! 真白は!?」

清雅が聞いた時、真白が大きく咳き込んだ。

「ゴボッ! ゴホッ! ゴホッ!」

大きな咳のあと、ゴボゴボと言う音をたてて真白の口から水が吐き出された。

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