身代わり姫君の異世界恋綺譚
「っ……はぁ……」

青白かった真白の顔に少し赤みが差してきた。

「真白! 大丈夫か!」

紫鬼に背中を支えられて真白はコクッコクッと2回頷く。

「穢れを受けている」

紫鬼の赤い目が射抜くように真白を見てから、すっと形の良い眉を顰めた。

「足首を引っ張られて……」

「怨霊の気配を私も感じた」

――神聖なこの山に怨霊がいるとは……。

呼吸が落ち着いてくると、掴まれた足首を見た。

足首は手の跡がくっきり残っていた。

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