身代わり姫君の異世界恋綺譚

忠臣親王

ひと眠りして起きた真白の部屋へ清雅が入って来た。

「大丈夫か? 真白」

「うん。紫鬼が治してくれたから大丈夫だよ」

「そうか! それなら良かった。しかしお前は無鉄砲すぎるぞ?」

安心した清雅の口から小言が飛び出してきた。

「ごめん……まさか川の中で怨霊に足を引っ張られるは思ってもみなかったから……」

いつもならば反抗してくるのに、素直に謝る真白を清雅はポカンとして見つめた。

「い、いや、わかればいいのだ」

――素直な真白は気味が悪いな。まだ具合が良くないのか?

清雅はじっと真白の顔を見た。

「やだ、清雅。なんで私の顔をじっと見るのよっ」

「やっぱりいつもの真白だ」

そう言うとにっこり笑顔になった。

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