身代わり姫君の異世界恋綺譚
「道重、この娘を屋敷へ連れて行くぞ」

真白はどうにかして男の腕から逃れようと足をばたつかせた。

「美しいがうるさい娘だな」

忠臣は暴れる真白のみぞおちに拳を打ち込んだ。

「うっ……」

お腹に強い衝撃を受けた真白は意識を手放した。

「忠臣様、そのような事は……」

道重はやり過ぎの忠臣をたしなめようとした。

「道重、良いではないか。この娘が気に入った。だが素直にこの娘はついては来ぬだろう」

腕の中で気を失った真白を満足げに見ると肩に担ぎ上げた。

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