身代わり姫君の異世界恋綺譚
「私がその娘を運びましょう」

道重は急いで言うと忠臣は足を止め見る。

「良い。気に入った女はお前でも触らせたくないのでな」

そう言うと高らかに笑い声を上げて草を食んでいた馬の所まで戻った。

道重は内心困っていた。

阿倍家の客人らしきこの娘を攫えば騒ぎになるだろう。

忠臣様がいくらこの娘を気に入って屋敷に囲ったとしても誰が攫ったのかはばれてしまうのではと懸念した。

相手は力のある陰陽師 清雅と鬼神と崇められている紫鬼なのだ。

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