身代わり姫君の異世界恋綺譚
「道重! 何をしておる。早くしないか」

馬の背に娘を乗せ自分も乗った忠臣がなかなか来ない道重をじれったそうに呼んだ。

「は、はい」

道重は小走りに馬まで戻った。

◇◆◇

「真白~今帰ったぞ~!」

山菜の大量収穫に上機嫌な清雅が真白を呼んだ。

経った今、戻ったところですぐに真白に会いに行く。

「真白~?」

――返事がない。おかしいな。眠っているのか? 連れて行かなかったから拗ねているのか?

清雅は真白の部屋へと歩みを進めた。

「真白~眠っておるのか?」

そう声をかけて障子を開ける。

< 184 / 351 >

この作品をシェア

pagetop