身代わり姫君の異世界恋綺譚
――髪を梳いているのは誰? ……紫鬼?


さわさわと髪に手の感触を感じて真白はだんだんと覚醒して行った。

「道重、もう我慢が出来ぬ」

真白の髪を梳いていた忠臣はだんだんとこみ上げて来る欲望に我慢が出来なくなっていた。

「忠臣様!」

道重は声を荒げた。

その時、真白の目蓋がパチッと開いた。

「だ、だれっ!?」

痛むお腹を押さえながら飛び起きる。

「やっと目が覚めたか。嬉しいぞ」

忠臣は部屋の隅にいる真白に近づこうと立ち上がった。

「来ないでっ!」

真白は叫ぶが、全く動じない忠臣はクックッと笑いながら両手を伸ばした。

「さあ、こちらへ来るのじゃ」

「嫌っ!!」

その手を叩くと、忠臣の顔がみるみる真っ赤になった。

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