身代わり姫君の異世界恋綺譚
現代
現代の日本……京都。
高校生の上条真白(かみじょう ましろ)は塾からの帰り家路を急いでいた。
自転車を漕ぎ、真白はお寺の前を通った。
真白は京都の街並みが大好きだ。
この土地は、古い建物が自然と目に入る環境。
ただ……昼間は好きな街でも、夜はお寺の近くを通るのはちょっと怖い。
今まで見えなかったものが、見えそうで怖くなるのだ。
門の前を通る時、バイクの音が聞こえてきた。
近づいて来るバイクの騒音も真白は特に気にしなかった。
むしろ、人通りがあった方がここを通る時には心細くなくていい。
バイクが真白を追い越した時、自転車の前かごに載せてあった塾のカバンがあっという間に無くなった。
「きゃっ!」
重いカバンが急に無くなり、バランスがとれずに、自転車ごとその場に横倒しになった。
「いたた……っ……」
一瞬何が起こったのか把握できなかった。
足を擦りながら、ハッとなる。
「ちょっとっ! 私のカバン!」
カバンをひったくったヘルメットをかぶった2人組は、少し先に原付バイクを停めて、真白のカバンの中身を物色していた。
真白は急いで立ち上がると、右足を引きずりながらバイクに近づいた。
「泥棒! カバンを返して!」
2人組を睨みつけながら大声で叫ぶと、物色中だった4つの目が真白を見た。
服装からして、高校生か中学生ぐらいに見える。
少年の手には母から17歳の誕生日プレゼントにくれたCOACHの財布を持っていた。
「あっ!」
財布は開けられて数枚の千円札を、ポケットに入れようとしていた。
「しけてんな、3000円だってよ」
声のトーンが少し高い。やはり中学生のようだ。
「3000円より、いいカモがいるじゃん。ここに」
もう1人の少年は真白を見て、ヘルメットの窓からニヤリとした目を覗かせた。
高校生の上条真白(かみじょう ましろ)は塾からの帰り家路を急いでいた。
自転車を漕ぎ、真白はお寺の前を通った。
真白は京都の街並みが大好きだ。
この土地は、古い建物が自然と目に入る環境。
ただ……昼間は好きな街でも、夜はお寺の近くを通るのはちょっと怖い。
今まで見えなかったものが、見えそうで怖くなるのだ。
門の前を通る時、バイクの音が聞こえてきた。
近づいて来るバイクの騒音も真白は特に気にしなかった。
むしろ、人通りがあった方がここを通る時には心細くなくていい。
バイクが真白を追い越した時、自転車の前かごに載せてあった塾のカバンがあっという間に無くなった。
「きゃっ!」
重いカバンが急に無くなり、バランスがとれずに、自転車ごとその場に横倒しになった。
「いたた……っ……」
一瞬何が起こったのか把握できなかった。
足を擦りながら、ハッとなる。
「ちょっとっ! 私のカバン!」
カバンをひったくったヘルメットをかぶった2人組は、少し先に原付バイクを停めて、真白のカバンの中身を物色していた。
真白は急いで立ち上がると、右足を引きずりながらバイクに近づいた。
「泥棒! カバンを返して!」
2人組を睨みつけながら大声で叫ぶと、物色中だった4つの目が真白を見た。
服装からして、高校生か中学生ぐらいに見える。
少年の手には母から17歳の誕生日プレゼントにくれたCOACHの財布を持っていた。
「あっ!」
財布は開けられて数枚の千円札を、ポケットに入れようとしていた。
「しけてんな、3000円だってよ」
声のトーンが少し高い。やはり中学生のようだ。
「3000円より、いいカモがいるじゃん。ここに」
もう1人の少年は真白を見て、ヘルメットの窓からニヤリとした目を覗かせた。