身代わり姫君の異世界恋綺譚

不安になる心

◇◆◇

空が白み始め真白は目を開けた。

目を開けて意識がハッキリしてくると、胸がドキドキと暴れ始めた。

目の前に秀麗な紫鬼の寝顔のせいだ。

何度も一緒に眠ったことはあるが、昨晩は特別な夜だった。

素直に紫鬼に身を任せ痛みなど感じずに未知の世界へ連れて行かれた。

――私、紫鬼としちゃった……。

今まで彼氏のいなかった真白がこの世界で紫鬼に身を任せた。

考えてみれば変だ。

この世界にいる自分は夢の世界にいるのだろうか。

だが、痛みも喜びもすべて感じる。

――私は生きているのかな?

ふと疑問が湧いてしまった。

――あの時、私は事故にあって……。

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