身代わり姫君の異世界恋綺譚
「紫、紫鬼様っ!」

紫鬼は真白の後ろに立つとふわりと腕を回した。

「紅、清雅。私たちのことに口出しをするな」

その言葉に清雅は驚いた。

紅は唇を噛んで悔しそうな顔になる。

そして真白は後ろから紫鬼に抱きしめられて更に真っ赤になる。

平然としているのは紫鬼だけ。

紫鬼の唇は今にも真白の頬にくっつきそうだ。

「し、紫鬼っ。やめてっ!」

食事もそこそこに真白は紫鬼の腕の中から抜け出すと、逃げるように部屋に向かった。

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