身代わり姫君の異世界恋綺譚
◇◆◇

皆で食べる夕餉も真白は気まずかった。

昼間の事もあり、じっと自分を見つめる紅の視線が痛い。

清雅は戸惑っているように見えて、紫鬼は方膝立ちをして淡々と冷酒を飲んでいる。

「ごちそうさまでした」

真白は立ち上がった。

「真白、もう食べぬのか?」

昼餉も紅のせいでほとんど手をつけられていなかった。

目の前の夕餉もほとんど減っていない。

魚をかじっただけのように見える。

「ごめんね……清雅」

真白は食事部屋を出た。

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