身代わり姫君の異世界恋綺譚
「わかった。都へ戻ろう」

清雅が言うと真白はホッとしたような表情になった。

――ここは紫鬼との距離が近すぎるもん……。

近すぎて紫鬼にどのように接してよいかわからない。

――紫鬼はこの世界の人。恋なんて出来るわけがない。

それが昨晩真白が出した答えだった。

◇◆◇

突然帰ると言われ、女房たちは慌てて帰り支度をした。

真白は自分の我侭だからと、自分の着物を箱にしまう。

そして清雅の部屋に行き、清雅の着物をしまう桔梗を手伝った。

< 226 / 351 >

この作品をシェア

pagetop