身代わり姫君の異世界恋綺譚
真白が桔梗を手伝っている頃、紫鬼と清雅は川辺にいた。

「紫鬼、真白に何も言わないのかっ?」

清雅には真白はひとりで苦しんでいるように見える。

「何をだ?」

「何をって……真白は悩んでいるのに。って! 話をしているのにっ!」

話をしているにもかかわらず、紫鬼は屋敷の方へと歩いていた。

「紫鬼っ!」

清雅は小走りに追いかけた。

そして紫鬼の前に立ちふさがると、仁王立ちになって睨む。

「子供は口出しをするものではない」

紫鬼の手が清雅の頭をポンポンと軽く叩き再び歩き始めた。

「その子供に心配をさせているのは大人2人なのに……」

その場に置いて行かれてひとりごちた清雅だった。

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