身代わり姫君の異世界恋綺譚
帰りの牛車の中は清雅と真白の2人だけだった。

自分と清雅だけ、紫鬼も紅も乗って来ないと知ると、真白の顔が沈んだのを清雅は見逃さなかった。

――素直じゃないやつ……絶対に真白は紫鬼に惚れておる。

なのに真白は紫鬼を避けているのがありありと分かる。

――本当に真白は元の世界へ帰りたいのか?

清雅は居心地が悪そうに座っている真白を見て思った。

牛車が動くと真白は目を閉じた。

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