身代わり姫君の異世界恋綺譚
2人の乗った牛車が都へ入ったのは日も暮れた刻だった。

座って居眠りをしていただけなのに真白は疲れていた。

「もうすぐで着くぞ」

「え? う、うん」

真白は頷いた。

「なあ……真白。私は2人が恋仲になってもまったく気にしないぞ?姉上はいないのだし誰にも気兼ねすることはない」

「せ、清雅っ!」

自分よりずっと年下の清雅に大人びた口調で言われて真白は呆気に取られた。

「元の世界へと続く穴を探すのも良いが……後悔しない様に……な?」

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