身代わり姫君の異世界恋綺譚
「あぁ。お前は私が好きなのだな」

紫鬼は腕を真白の足と身体に差し入れ、前もって女房が敷いてくれた布団の上に真白を降ろした。

「ならばなぜ事を複雑にするのだ?」

真白はぼんやり紫鬼の顔を見ていた。

「複……雑?」

「好きな者同士が身体を重ねあうのは当たり前だ」

「好きな者同士……」

呟いた途端、真白のぼんやりしていた頭ははっきりした。

「紫鬼、紫鬼は私が好きなの? 清蘭さんに似ているからじゃなかったの?」

無理に身体を起こし、紫鬼の着物の合わせ目に手を置き聞く。

「お前と清蘭では似ても似つかぬのに何を言っている?」

顎に紫鬼の指が触れた。

「だって……」
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