身代わり姫君の異世界恋綺譚
◇◆◇

真白は桔梗からお琴を習っていた。

――難しい……。

慣れない楽器に指が痛くなる。ついでに腰も痛いし足も痛い。

そんな真白の様子に桔梗は微笑んだ。

「そんなに無理をなさらなくても良いのですよ?」

一生懸命学ぼうとする真白に桔梗は言った。

「……わかっちゃった?」

真白は照れくさそうな笑いを浮かべた。

「はい。無理にこの世界に溶け込もうと努力なさっているのが分かります。でも真白様は真白様です」

清文は真白が働くことを許さなかった。

だから自分の出来る事、みんなが喜んでくれる事をしようと考えたのだ。

琴が弾けるようになれば清文や清雅、紫鬼に聞いてもらえる。

< 242 / 351 >

この作品をシェア

pagetop