身代わり姫君の異世界恋綺譚
その頃、右大臣家の物の怪退治に来ていた紫鬼と清雅、清文は物の怪の気配がほんの少しなことに眉をひそめた。

「なんなんだ……? 強い物の怪はいないようだ」

清雅が辺りを見渡す。


紫鬼は心臓をわしづかみにされたような感覚を覚えた瞬間、真白の自分を呼ぶ声が聞こえた。

「真白!」

紫鬼は叫ぶと清雅と清文の前から消えた。

「どうしたのじゃ? 紫鬼っ!? 紫鬼っ!?」

突然真白の名前を呼んでいなくなった紫鬼。

尋常ではない消える前に見た紫鬼の表情に、清雅にも大きな不安が襲っていた。

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