身代わり姫君の異世界恋綺譚

呪術

「紫鬼! いったいどうしたのじゃ?」

牛車の中から慌てた様子で転げるようにして清雅が出てきた。

清雅の場所からは紫鬼の姿に隠れ清蘭が見えない。

振り返った紫鬼。

清雅はその顔に浮かぶ怒りと悲しみを見て戸惑う。

――どうしたというのじゃ?

「紫鬼、真白も一緒か」

送れて牛車から出た清文が、紫鬼の後ろに立っている真白を見た。

その途端、清文の顔が歪んだ。

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