身代わり姫君の異世界恋綺譚
「真白の身体から出て行かさねば。なぜ物の怪になって戻ってきた!? 清蘭!」

穏やかな清文が今までに見たこともない怒りの表情だ。

「清文殿、清蘭が出れば真白は死ぬ」

「姉上が怨霊!? 姉上! 今すぐ真白から出て行ってください。今なら助ける事が出来る」

清雅が姉に懇願する。

『わらわに会えてそなたたちは嬉しくないのじゃな?』

苦痛が去り、ゆっくり立ち上がるその声は悲しく暗闇に響いた。

「姉上! 会えて嬉しいですがこれは道理に外れています!」

「清蘭、真白の身体から出るのだ!」

清文は数珠を手にし、いつでも呪術を唱える体制だ。

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