身代わり姫君の異世界恋綺譚
『わらわは帰りませぬ! 父上様にはがっかりいたしました。これ以上わらわを苦しめるとどうなっても知りませぬぞよ』


――この都に物の怪を――


「清蘭、止めろ!」

今まで黙っていた紫鬼が清蘭の考えていることをくみ取った。

空が白んできた。

睨み合いの攻防ですっかり夜が明けようとしていた。

『わらわは眠りまする』

そう言うと、真白の身体がグラッと倒れかけた。

紫鬼はその身体を抱きとめる。

今まで黒髪だった髪は茶色い髪に変わっていた。

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