身代わり姫君の異世界恋綺譚
桔梗が食事を持ってきた。

「あとは私がやろう」

紫鬼は膳を受け取ると桔梗に言う。

桔梗は具合の悪そうな真白を心配そうに見やると出て行った。

「真白、少しでも食べなければ」

真白の身体を後ろから抱きかかえるようにして支え、おかゆののったさじを口元に運ぶ。

口を開けて食べるのだが、なかなか飲み込めない。

そこへ清雅がやって来て真白の弱った姿を見ていたたまれずに泣き始めた。

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