身代わり姫君の異世界恋綺譚

清蘭の力

眠っていた清雅もこの音と地響きにガバッと起き上がる。

「な、何事じゃ?」

身体を起こした清雅はキョロキョロと辺りを見渡す。

そして目に入ったのは黒髪の真白。

正確には真白の身体に入り込んだ姉、清蘭。

「姉上……」

『おお、清雅。目を覚ましたのか』

清蘭は立ち上がると清雅の元へ近づき、清雅に手を伸ばす。

「触るのではない!」

清雅は姉の手を払おうと腕を振り上げた。

『紫鬼様と同じような事を……』

弟の清雅に化け物を見るような目つきで見られ清蘭は苛立った。

< 287 / 351 >

この作品をシェア

pagetop