身代わり姫君の異世界恋綺譚
「知っておるだろう? 今、清蘭を消滅させれば真白も……」

「都合よく化け物が言っているだけではないのですか? 早くしないと真白がっ!」

「清雅……自分の部屋でゆっくり休め」

紫鬼は人差し指を清雅の額に当てる。

「……はい」

清雅は素直に部屋から出て行った。

『陰陽師ともあろう弟が、いとも簡単に紫鬼様の術にかかるとは』

静蘭が愉快そうに笑う。

「これ以上、清雅に辛い目に合って欲しくないからだ」

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