身代わり姫君の異世界恋綺譚
「ああ、そういう事? そうだな。むしゃくしゃしていたしな」

真白は2人の少年が何を言っているのか分からなかった。

人通りも無く、自分の身に危険が迫っているとは思っても見なかった。

「お金は上げます。カバンとお財布を早く返してください!」

お金が目的なのだから、お金さえ手に入れば、いなくなってもらえるものと思っていた。

男が財布をぽいっと放り投げ、真白に近づいてきた。

計り知れない恐怖が襲ってきて、真白はじりじりと後ずさる。

「意外と可愛いじゃないか」

真白の顔を見て、嬉しそうな声をあげた。

――意外と可愛い?
それがどうだと言うのだろう。

2人ともヘルメットをかぶっているせいで表情が見えない。
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