身代わり姫君の異世界恋綺譚
紫鬼は真白が良く釣りをしていた中庭の小さな橋に立っていた。

太陽はもうすぐ沈もうとしている。

太陽が沈めばまた怨霊との戦いが始まる。

「?」

いつもとは違う空気に辺りが包まれた。

「紫鬼よ。久しぶりじゃのう」

目の前に立ったのは最高位の神とされている聖天(せいてん)だった。

真っ白な髪に優しそうな笑みをたたえた老人。

「聖天様!」

この老人と合うのは覚えていないくらい久しぶりだ。

かれこれ100年は経っているだろう。

紫鬼を清文の祖父、清忠がいたこの陰陽師寮に行くように指示した老人。

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