身代わり姫君の異世界恋綺譚
傷だらけで屋敷に戻った清文。

紫鬼は肩口の傷を治した。

傷口が塞がるまで清雅は部屋の中を心配でうろうろと歩き回っていた。

出血がかなりあったものの紫鬼の力で顔色も良くなり清文は目を覚ました。

「父上!」

目を覚ました父の元へ清雅は駆け寄った。

「清雅、心配をかけたな。紫鬼殿、ありがとう」

「父上、良かった……」

「清雅、清文殿に話がある。少し席を外してくれないか?」

紫鬼は清雅の肩に手をかけ言う。

「え? わ、わかったのだ……」

何の話か知りたかったが、清雅は黙って部屋を出た。

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