身代わり姫君の異世界恋綺譚
「な、なんと……」

――愛しい娘を殺す……。

清文は唖然となった。

「それしか方法がないのだろうか?」

「そうだ。清蘭を真白に閉じ込めたまま滅することが唯一の方法……清文殿に頼みがある――」




異空間が解けた。

その瞬間、紫鬼は清文の部屋から消えていた。

清文は床に力なく膝を付く。

紫鬼に頼まれたことが出来るかどうか自信がない。

目を閉じた時、障子の向こうが白んでいた。

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