身代わり姫君の異世界恋綺譚
「清雅、真白に最後のお別れを言いなさい」

清文は呆然としている息子に言う。

「お別れ……」

次の瞬間、清雅の顔がぐしゃっと崩れ、真白の身体に抱きつき大声をあげて泣いた。

そんな息子の姿を見て清文は胸が痛かった。

人を失う辛さ……。

――紫鬼に頼まれたことを実行すれば、お前に一生恨まれるだろう……。

清文はこれからしなければならないことを思うと足がすくむ。

私にそんなことが出来るのだろうか……。

いや、私がしなくても紫鬼本人がやるだろう。

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