身代わり姫君の異世界恋綺譚

最後

真白の姿に変わり一瞬、紫鬼の力が緩みそうになった。

「紫鬼殿! 早く!」

清文が腕の中で止めようと暴れている清雅を押さえながら叫ぶ。

「清蘭、お前の好きにはさせない」

紫鬼は光を放つ剣を振り上げると清蘭の胸に一突きした。

『うぎゃーっ! ぐあ――――っ!』

清蘭が痛みと苦しみの悲鳴を上げた。

清蘭の胸に剣が刺さるところを見ていた清雅は清文の腕の中で気を失った。

「清文殿、これを」

清蘭を片方の腕に抱きながら振り返った紫鬼は光の剣を清文に差し出した。

< 322 / 351 >

この作品をシェア

pagetop