身代わり姫君の異世界恋綺譚
◇◆◇


「真白っ! 真白っ!」

病室のベッドに横たわる娘に母は泣きながら身体を揺さぶった。

――ママ……?

まどろみを漂っていた真白の耳に聞こえてきた声。

真白の目蓋がぴくりと動く。

「お前、無理に起こさない方が良い。衰弱しているんだ」

――パパの声……。

真白が突然消えるようにいなくなってから半年。

古いお寺の庭で倒れている所を住職に見つけられた。

見つかった時、怪我はしていなかったものの身体は衰弱しており病院へ運ばれた。

すぐに身元は分かり、半年前に塾の帰りに突然いなくなった上条真白であることが判明した。

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