身代わり姫君の異世界恋綺譚
「真白!」

「姉ちゃん!」

なだめようとする母親と裕樹。

今まで平穏な気持ちが何かに押しつぶされそうになって身体がぶるぶる震える。

「本当にっ! 本当に覚えていないのっ!」

そう言い捨てて自分の部屋に走った。

「あなた、本当に覚えていないのよ。自分でも知りたいのに分からなくて苛立っているわ」

母親は悲しそうに瞳を潤ませた。

その日から真白は部屋に引きこもるようになってしまった。

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