身代わり姫君の異世界恋綺譚

再び

警察は事件性も否めないが、本人が無事に戻ってきて記憶がないので未解決事件として処理された。

真白は必要以外、自分の部屋から出ずにいつも部屋にいた。

そんな真白を両親は心配していたが、腫れ物に触るように接するしかなかった。

そんなある日、母親は友人から聞いた話を夫に話した。

「精神科医?」

ネクタイを外しながら驚いて妻に振り向く。

「ええ、有名な精神科医の先生が慶京大学付属病院にいるって聞いたのよ」

「精神科医は大げさじゃないか? 真白が嫌がるだろう」

「大げさじゃないわ! このままあの子を放っておくつもり?」

最近の夫は真白をいないように扱っている。

どう接してよいかわからないせいだ。

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