身代わり姫君の異世界恋綺譚
部屋のテレビでは派手な音がしていた。

『おのれ! 陰陽師め!』

真白はハッとして声のしたテレビを見る。

「陰陽……師……」

画面では陰陽師が呪術を唱え怨霊と戦っているシーン。

【会いたかった……】

自分の声が頭に響いた。

――誰に会いたかったの……?

脳裏に紫色の長い髪の青年が浮かぶ。

顔は見えない。

【昼間会ったばかりだろうに】

優しく愛しむ様な声が聞こえた。

【うん。でも会いたかったの。ずっと一緒にいたいから】

――これは……なに? 私はこの人に会いたかったの……?

【真白。愛している】

次の瞬間、愛の言葉を紡いだ青年の顔がはっきりした。

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