身代わり姫君の異世界恋綺譚
「いやっ! 離してっ!」

胸が締め付けられるように痛む。

母親の手から逃れようと身をよじると力を失い再びベッドに倒れこむ。

「真白!」

ベッドに倒れこんだ真白は意識を失っていた。


真白は慶京大学付属病院へ救急車で運ばれた。

この状態が治まり次第、精神科の先生に診てもらうつもりだ。

「……ぅ……ん……」

のりの利いたシーツの上で真白は数回首を横に振った。

「真白? 気がついた?」

母親の声に真白の目がパチッと開いた。

「私……」

眉間に皺を寄せて首を動かす。

< 340 / 351 >

この作品をシェア

pagetop