身代わり姫君の異世界恋綺譚

実長は隋人（護衛役）３人が、真白を捕らえたのを木の陰から目にし舌打ちをした。

実長は彼らより身分が低く、話しかける事は出来ない。


『実長、今日はもう良い、忌々しい……』

その声に実長は見つからないように暗闇に姿を隠した。

◇◆◇

真白は清雅の父、陰陽師寮の長官 陰陽の頭(おんみょうのかみ）の前に連れて行かれた。

清雅とよく似た目で真白を見ている。

「お前が清雅が話しておった娘だな」

清雅がちゃんと話してくれた事に真白はホッとした。

「はい」

「なるほど、清蘭に良く似ておる。まるで娘が帰ってきたようだ」

真白を見て瞳を潤ませた清雅の父。

――清蘭って人に、私はそんなに似ているの？