身代わり姫君の異世界恋綺譚
「どうしても着なくてはいけませんか? 私……」

清雅の方に視線を移す。

「清雅の着ている着物の方が良いのですが」

「なぬ!? 十二単は嫌と申すか?」

「あの……嫌とかではなく……動きづらいと思うので……それか簡単な着物で……」

真白の言葉に納得したように頷く清雅の父。

清雅も美少年なのだが、清雅の父もまだ若く見えて見目麗しい。

――平安時代? じゃなくて……異世界だった。だから皆整った顔をしているのかな?

「わかった。女房に用意させよう」

清文は真白の意見を尊重してくれたようだ。しかし、内心では残念に思っていた。

――この娘が十二単を着れば、さぞかし美しいだろうに……。

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