身代わり姫君の異世界恋綺譚
「真白~、終わったか?」
障子の向こうから清雅の声がした。
「あ、うん。開けていいよ」
その声に障子が開かれる。
今日の清雅は空色の着物に、藍色の袴を身につけている。
そして、数珠なりの大きな石を首から下げている。
真白の男児姿に一瞬、清雅はギョッとなる。
「どうしてそのような着物を着ておるのじゃ! そなたは女子じゃろう」
「でも、この方が動きやすいし……清文さまが用意して下さったのだからいいでしょう?」
「ムムム……」
父親が用意したのなら、仕方ないと清雅は口をつぐむ。
「それよりどうしたの?」
「おっ! そうじゃ! 真白、お前が現れてから物の怪の気配がする。昼間はこの敷地内なら動いて大丈夫だが、夜は部屋から出てはいけないぞ。それを言いに来たのじゃ」
着物の袖を引っ張って動き具合を確かめている真白に清雅は忠告する。
「えっ? 物の怪(もののけ)って?」
――もののけ姫なら知っているけど……。
また口にしたら「訳の分からぬことをいうな」と、バカにされそうだ。
「陰陽師寮に出てくるとは……ぶつぶつ……」
真白の問いに答えずに、何やら一人考え込んでしまった清雅。
「清雅っ! だから物の怪って何っ?」
「ん? そんな事も知らぬのか?本当にお前はおかしいな」
「だから~この世界の人間じゃないって言ってるでしょう?」
――もうっ。二言目にはおかしいおかしいって……本当におかしくなっちゃいそうだよ。
「簡単に言えば、物の怪とは人間にとって悪いものだ。怨念、生霊、人に取り付いて病気にさせたり、死に至らしめたりするのだ」
「いやーっ! それってお化けじゃないっ!」
真白は背筋が寒くなってブルッと震える。
障子の向こうから清雅の声がした。
「あ、うん。開けていいよ」
その声に障子が開かれる。
今日の清雅は空色の着物に、藍色の袴を身につけている。
そして、数珠なりの大きな石を首から下げている。
真白の男児姿に一瞬、清雅はギョッとなる。
「どうしてそのような着物を着ておるのじゃ! そなたは女子じゃろう」
「でも、この方が動きやすいし……清文さまが用意して下さったのだからいいでしょう?」
「ムムム……」
父親が用意したのなら、仕方ないと清雅は口をつぐむ。
「それよりどうしたの?」
「おっ! そうじゃ! 真白、お前が現れてから物の怪の気配がする。昼間はこの敷地内なら動いて大丈夫だが、夜は部屋から出てはいけないぞ。それを言いに来たのじゃ」
着物の袖を引っ張って動き具合を確かめている真白に清雅は忠告する。
「えっ? 物の怪(もののけ)って?」
――もののけ姫なら知っているけど……。
また口にしたら「訳の分からぬことをいうな」と、バカにされそうだ。
「陰陽師寮に出てくるとは……ぶつぶつ……」
真白の問いに答えずに、何やら一人考え込んでしまった清雅。
「清雅っ! だから物の怪って何っ?」
「ん? そんな事も知らぬのか?本当にお前はおかしいな」
「だから~この世界の人間じゃないって言ってるでしょう?」
――もうっ。二言目にはおかしいおかしいって……本当におかしくなっちゃいそうだよ。
「簡単に言えば、物の怪とは人間にとって悪いものだ。怨念、生霊、人に取り付いて病気にさせたり、死に至らしめたりするのだ」
「いやーっ! それってお化けじゃないっ!」
真白は背筋が寒くなってブルッと震える。