身代わり姫君の異世界恋綺譚
散々泣きじゃくったと、真白はゆっくり顔を上げた。
「ありがとう。紫鬼……がんばれそうだよ」
――紫鬼が傍にいてくれれば……。
「真白、もう穴探しはやめなさい」
「えっ?」
「この屋敷の塀に、穴はどこにもない」
突きつけられた事実に、真白はかぶりを振る。
「そんな事ないっ! 私はこの屋敷の穴から来たんだからっ」
認めたくない気持ちで真白は紫鬼に叫んでいた。
「真白、落ち着くんだ。また身体の具合が悪くなるぞ」
紫鬼は感情の高ぶりで真白の体調が左右されはじめたのを感じた。
感情が高ぶると穢れを寄せ付けてしまう。
先ほどの悲しみで真白の体調は崩れ始めていた。
そして今も……。
「絶対に帰るのっ!」
再び、子供のように泣きじゃくる真白の身体が突然大きく揺れた。
そして人形のように紫鬼の腕の中に倒れた。
「ありがとう。紫鬼……がんばれそうだよ」
――紫鬼が傍にいてくれれば……。
「真白、もう穴探しはやめなさい」
「えっ?」
「この屋敷の塀に、穴はどこにもない」
突きつけられた事実に、真白はかぶりを振る。
「そんな事ないっ! 私はこの屋敷の穴から来たんだからっ」
認めたくない気持ちで真白は紫鬼に叫んでいた。
「真白、落ち着くんだ。また身体の具合が悪くなるぞ」
紫鬼は感情の高ぶりで真白の体調が左右されはじめたのを感じた。
感情が高ぶると穢れを寄せ付けてしまう。
先ほどの悲しみで真白の体調は崩れ始めていた。
そして今も……。
「絶対に帰るのっ!」
再び、子供のように泣きじゃくる真白の身体が突然大きく揺れた。
そして人形のように紫鬼の腕の中に倒れた。