身代わり姫君の異世界恋綺譚
「……では一度お会いいたしましょう」

清文が言う。

「ありがとうございます」

普段の姫の人柄を見るために、昼間に右大臣家を訪れることを約束した。

山吹は忙しい陰陽師がすぐに来てくれると聞いて快く帰って行った。

◇◆◇

何もすることがない真白は、ごろっと畳みの上に横になった。

桔梗が焚いてくれたお香の香りは気に入った。

柔らかい香りで気持ちをやわらげてくれる。

「う~ん……ひま~。……やっぱり穴を探しにいこう。あの穴は毎日開いているわけではないのかも知れない」

真白は立ち上がると、着物を整えて廊下へ出た。

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