身代わり姫君の異世界恋綺譚
「お前は琴とか、笛、蹴鞠はやらぬのか?」

清雅は少し考えた末、尋ねた。

「お琴に笛!? むりむりっ 笛は小学校の頃、ソプラノ笛とアルト笛を吹いたことはあるけど苦手だったし」

音楽は得意科目ではない。

「ならば蹴鞠は?」

「蹴鞠って鞠を足で蹴って遊ぶの?」

――それなら出来そうかも。

そう思った時、清雅が突然叫んだ。

「あ~! やっぱりいい年をしたおなごがやることではないわ!」

真白が自分と同じ形の着物を着ているからつい言ってしまったのだ。

「そうなの? なんだ、それなら出来そうだったのに」

「と、とにかく部屋まで送るぞ」

清雅が歩き始めると、真白も仕方なく後を追った。

< 80 / 351 >

この作品をシェア

pagetop